過去の失敗とそこからの挽回を語る「第一回やらかした選手権!」#02
《 エントリーNo.3 上田 博友 》
上田:私は橋梁(高速道路などの架設)を担当させていただいてまして、新東名高速道路という新しい高速道路を作る工事の一部を、先輩から引き継がせてもらっていました。
当時は私が3年目だったのですが、
若手で最大手のスーパーゼネコンさんの現場をやらせてもらっているということは、
もう期待されているというか、頑張らなきゃなというのがありました。
どういった現場かというと、
高速道路の橋脚と橋脚の間を「経管」というのですが、それが片側15経管で約800メートル、
それが両側あるので合計30経管、1,600メートルぐらいです。
そういうすごい大型の現場でした。 数字で言うと3億円超。とても大きな現場です。
小園:すごい規模。
企画の性質的に、前フリの規模が大きければ大きいほどドキドキするね。
上田:でもう、絶対にミスをしないぞと何度も何度も確認してたんですが、
まあ任された1発目に、資材を組むうえで1番最初に必要な部材を入れてなくて…。
あのー、まあ平たく言うと
お客さんたちにブチ切れられたっていうお話なんですけど。
全員:(苦笑)
上田:会社の先輩方が、毎っ日汗水たらして、やっとの思いで取れた現場なのに…。
任された1発目でミスしちゃったと、
もう呆然としてました。頭の中も真っ白で。
上田:で、すぐに上司に相談して、
最短でできる資材の搬入を手配しつつ、
いっそいで現場にまで謝りに行きました。
で、何度か謝りにいくうちに、
一番怒ってらっしゃった鳶の職長さんが、
どうやら大のプロレスファンらしいぞと。
そういう情報をちょろっと仕入れまして。
で、そういえばうちの名古屋支店には某有名プロレスラーの弟さんがいらっしゃるぞと。
で、この手を使わないというのはないんじゃないかと思いまして。
お願いして職長さんのお名前を入れてサイン色紙を書いてもらったんですね。
小園:ほうほう。
上田:で、実際その職長さんに謝りに行った際に、
「申し訳ありませんでした」と謝るのに加えて色紙を渡したところ、
それまでピリッピリだった場の空気が、急に和んだんです。
全員:(笑)
上田:今まで怒りで何重にも寄っていた額のしわが、
無風の水面のように一切なくなって。
笑みまでこぼれるようになりまして。
そこからは職長さん経由で怒られることはなくなりましたね。
で、その他にも写真が趣味の担当者さんのInstagramをフォローして
「あの写真よかったっすね」って仲良くなったりとかして。
いろいろ怒られることありますけど、
まあ、現場で仲間を増やしていけたかなという感じでしたね。
つまるところ、私を救ったものは「チームワーク」だな、と。
全員:チームワーク!!(笑)
小園:プロレスやろ。
上田:ま、まあ、いい解釈をしたらチームワークかな?と(笑)
真面目な話になりますが、
正直3年目の若手が最大手さんの現場をやらせてもらって、
何かが起こった時にはどうしようも出来ないんですよ。
もちろん窓口なので、謝ったりとか出荷の最短の手配だとかそういったことはしますけども、
いろいろな方のつながりや支えがないと、
一人じゃ絶対にできない現場だったなと今改めて思いますね。
だから、冗談みたいな流れで出しちゃいましたけど、
本当にチームワークで。
いろいろな人に助けられて、今もやれているなと思います。
もしタカミヤが周りから助けてもらえないような会社だったら、
今頃会社辞めてただろうと思ってます。
次呂久:それは確かにありますね。
周りとのつながりで僕もいつも助けられてます。
上田:うん、会社内の繋がりもそうですけど、
お客さんとの繋がりも結構大きい気がするんです。
小園:それは営業という仕事の魅力でもあるよね。
上田:個人的な営業として大事にしていることは、
「真面目さと砕けた雰囲気の間をとること」かなと。
結構私は根が真面目なんですけど、ふと砕けた雰囲気になれるときは、
しっかり乗っかるとかそういうことです。
それがあることで、担当者さんたちも「次も頑張ってくれよ!」みたいな感じで、
いい雰囲気になれたので、
そういう真面目さと砕けた雰囲気の間で
メリハリを作るということが大事なのかなと思いますね。
小園:はい、ありがとうございました!
みんなは現場の人と仲良くなることってよくあるの?
濱田:僕はあるゼネコンの現場監督と個人的に仲良くなって、
結婚式に呼んでもらいましたよ。
小園:ええ~!すごい!
濱田:もちろん、取引先っていう立場じゃなくて、
本当に一友人として呼んでもらってね。
小園:それすごいね。
商品がどうとか会社としての繋がりじゃないもんね、
人として、やもんね。
濱田:それ以外にも、一緒に旅行に行ったり家に遊びに行かせてもらったりとかしてましたね。
けど、仕事の話になると途端に厳しいっていう。(笑)
まさに、自分で語った真面目さと
砕けた雰囲気の中間をついてくるプレゼンを行った上田。
続いては、直属の後輩でもある次呂久のプレゼンです。
《エントリーNo.4 次呂久 隼平》
次呂久:あんないい話されたあとで、
しかもこれ、上田さんにも迷惑をかけている話なので、
本人の前ですごい言いづらいんですけど、
上田さんから引き継いでいたお客様の現場で在庫の確保をしていなかったという話なんです…。
上田:まあ、聞くわ…。
さっきあんなエピソード話したばっかりで怒れないし。
次呂久:橋梁現場で使う支保工(上または横からの荷重を支えるための仮設資材)って
特殊材になってくるので保有が少ないので、必ず現場が始まる前には、
いつからいつまでどれだけの量が出ますよという出荷予定を
会社に提出しなきゃいけないんですけれども。
私の怠慢で在庫の確保をしていなかったということがありまして。
全員:うわぁ…。
次呂久:現場側からすると、
作業に必要な資材がないから予定していた作業が一切できなくて。
現場を止めるしかないので、
それはそれは大きな損害が出てしまうんです。
だからもう、なんとか現場が進むように代用品を抑えて、
それに合わせ超特急で技術の方に代わりの図面を用意してもらって。
もちろん自分も現場に謝罪に行きましたが、
上司にも謝罪してもらったり、打ち合わせしてもらったり…。
自分ひとりが大事な仕事をやらなかったことが、
これだけたくさんの迷惑をかけてしまうのかと気付きました。
上田さんもおっしゃってましたけど、周りの方の助けがあって、
なんとかいま自分が仕事をできているんだなと改めて認識しました。
次呂久:で、この件から学んだこと。
それは、「明日でいいやが続くと死ぬ」ということです。
大島:死んじゃったよ!そんな落とし方ありなの!?
上田:すごいオチだな。
こういう衝撃の与え方もあんのか。
濱田:吉野のプレゼンそのものを、前フリに使ってるやん。
吉野:死んじゃいましたね。(笑)
大島:流れカンペキじゃん。
次呂久:本当にご迷惑をおかけしました!すみませんでした!!
全員:(笑)
吉野:改めて(上田さんに)ちゃんとした謝罪?
小園:あ、じゃあ何?この時って、
もう明日でいいやって思ってたってこと?
上田:そっかそういうことだ。
次呂久:いや、まあ、その、
どこかちょっとヤバイなって思うときはあったり、
早く出さなきゃなって思ってたんですけど、
それが続くとだんだん薄れていって、
やがて消 え て い く っ て い う 。
上田:フザケンナヨーーー!!!!
大島:めっちゃ上ぽん怒ってるやん!
次呂久:上田さん!
あとでちゃんと正式に謝りに行きますので!
小園:次呂久さあ、今日はこの後やることあるの?
次呂久:え…?この現場に関してですか?
今日ですか?
小園:……明日でいい感じ?
次呂久:あの、えっと、やることは…
まあ、進めてはいます。
小園:いや、それは「明日でいいです」って言えよー!(笑)
せっかく振ったのに!
次呂久:ダメです、上田さんの目がおっかないんで。
全員:(笑)
直接迷惑をかけた先輩である上田の前で、衝撃のオチを披露した次呂久。
最後は、できる男 濱田のプレゼンとなります。
《エントリーNo.5 濱田 周》
濱田:トリということで今からプレゼンしますけど、
とりあえず、あのー、
少しでも楽しい雰囲気をと思いまして。
楽しそうな、ぼくらが入社して1~2年目ぐらいの頃の写真を、資料に貼っ付けております。
小園:(笑)
濱田:私の最大のやらかしは、ちょうどこの写真のころ。
入社2年目で、先輩から引き継いだ大口のお客さんの新規現場に
営業に行っていたときのことですね。
引き継ぎなんで、
もう何回も現場に足を運んで担当者と仲良くなって、
さあ現場の受注が決まりそうだと言ったところで、
急に「ごめん、今回はちょっと違うとこに発注しようと思う」と言われまして。
相見積もりを取られていた別の会社に発注されてしまいました。
それがまあ100万200万なら何も言わないんですけど、
その時の金額が、なんと1億円で。
全員:1億…。
濱田:当時2年目でわからないことも多かったですけど、
1億円っていう見積もりを出した時は、会社にとっても大きい金額なんだなと思っていたので、
別の会社にって言われた時は、
もう頭が真っ白になって、これ…やばいな…と。
次呂久:2年目で1億の失注…。
濱田:もちろん、すぐに当時の上司や管理職の方々に報告をして、
上司の方二人と一緒に現場に行って、
「なんとかタカミヤにしてもらえませんかね」というお願いを何度もしたんですけれども、
あまりにもしつこかったんでしょうね。
最終的には「お願いやから。今回は別のとこに発注させて」と謎のお願いをされて
丁重に断られる始末です。
全員:(笑)
濱田:そのお客さん自体は、
ほとんどその別会社かうちかに発注していて、70~80%はうちが受注していたので、
うちに決めてくれるかなという傲りがどっか自分の中にあったのかなと、
今になったら思います。
その時は、こんなにもあっけなく敗戦するんだなと思いまして。
なんかもう申し訳ないというか、悔しい思いっていうんですかね。
ただただ、恥ずかしいなぁっていう思いだったのを今でも覚えています。
大島:わかるなぁ。
入社してすぐで、会社に迷惑かけるのってきついよね。
濱田:けどそれよりも、一番覚えているのは帰りの車内ですね。
上司の人もいて、小さな車内に三人も乗ってるのに、
タイヤの音しか聞こえなかったです。あとはウィンカーの音。
もう本当にこれが「お通夜」なんだなって…。
全員:(笑)
小園:ほんまのお通夜でももうちょい騒がしいよな。
濱田:その後は、もう売り上げを補填しないとな、ということで奮起しまして。
そのお客さんだけじゃなくて、他の新規のお客さんを開拓しました。
1億円という金額はなかなか補いきれなかったですけど、
通期で見れば、なんとか売上げを達成することができまして。
いまポジティブに考えれば、
この失敗が結果的には自分を駆り立ててくれたのかなぁと思います。
小園:さすが。
濱田:あと、自分が負けた現場ってなかなか行きづらかったりはしたんですけど、
何回もその敗戦現場に訪問して、
「どうも、負けたタカミヤの濱田です!」っていうので自虐ネタで行ったりとかしてました。
大島:すごいメンタル(笑)
え、それは上司に指示されて、とかじゃなくて自分の判断で行ってたの?
濱田:うん。仮囲いは入れてるから、毎月請求があったし。
新商品が出るたびに、
「こんなのどうですか?」って嫌味のように営業してたよ(笑)。
小園:ほんま営業の鑑よなぁ。
濱田:負けても勝ってもその現場はいつか必ず終わるので、
次の現場につなげられる営業を、
というのはいつも思っていて、この時はそれができたのかなと思います。
吉野:すごいいい言葉。
濱田:今になって考えると、本当に学びは多くて。
営業的な感覚をもっと磨かないといけないとか、
大口でうちと取引をしてくれるからといって油断は絶対にしてはいけないとか、
営業マンとして役に立つ気づきはいくつも得られたんですけども。
正直なところ今でも、その現場の近くは通りたくありません。
いまだにいじられるので。
小園:これって、現場が進行している途中でのやらかしではなくて、
営業段階というか、
ここに決めますというまでのやらかしやね。
濱田:そうね。
仮囲いとかの一番最初の材料はうちが入れていたのに、
本体で負けるっていう。
大島:え~、そんなことあるんだ…。
濱田:見てる人のために言いますと、
仮囲いっていうのは、みなさんよくご覧になる、工事現場の白い囲いみたいなもので、
ぼくら的には、仮囲い入れて本体で負けるのって、
チューまでいって、ちょっと触れてるのにその先に行けない、みたいな。
最低な例えですけども。(笑)
大島:例えの品が無いな。
上田:お通しだけ出して店を出る、
みたいな感じですかね。
小園:あー、なるほどね。
次呂久:ビールの泡だけすすられる、
みたいな感じですかね。
濱田:例えもういいわ。(笑)
濱田:まあ結局、タカミヤ的には仮囲いだけだったんで、
300万円ぐらいにしかならんかったと思うけど、
最終的に向こうは1億5000万ぐらいになってたらしいからな。
いまだに、自分の中でも最大の敗戦現場として記憶に残ってます。
小園:これまで進行中の話が多かったけど、
やっぱり営業的には失注もきついよな。
みんなもプレゼンありがとうございました。
できる男「濱田」の若かりし頃のやらかしプレゼンも終え、
これにて5人全員終了。
プレゼン終了。そして…
小園:と、いうわけで5人全員のやらかしプレゼンが終了したわけですが、
ここでみんなに重大なお知らせがあります。
今回のやらかし選手権レコーディングもしているんですが、
その内容をね、
髙宮 副社長に見ていただいて、
優勝者をジャッジをしてもらおうと思ってます。
全員:えええええ…!!??
(…しばし沈黙…)
小園:ちょっと、みんな急に黙ってるやん!(笑)
全員:(笑)
小園:厳正なる審査の上で、
これは1位だなというのを、選んでいただこうと思います。
で、後日表彰させてもらいますので、発表の連絡を皆さんお待ちください。
今日は本当にありがとうございました。